アイリスへの手紙

高樹のぶ子さんの『フラッシュ バック -私の真昼』というエッセイ集の「母か姉のように」という題名のなかで紹介されていた映画です。

『アイリスへの手紙』は,

育った環境のために文盲であることから,隠れた才能を持ちつつも社会的に陽の当たらない暮らしを送るしかないスタンレー(ロバート・デ・ニーロ)と,未亡人となり子どもを養うために
菓子工場で働くアイリス(ジェーン・フォンダ)が,文字の読み書きを通して,互いの心を通わせていく

といったお話です。

高樹さんのエッセイから,あらすじはほぼ完全に,そして咀嚼された形で頭に入ってくるので,映画を観て改めて「ここが...!」と私が言えるほどのものは残念ながらないのですが,

と言いつつも,自分に力が足りないために,最愛の父を施設に預けるしかないスタンレーと,その息子に恨み言の一つも言うわけでなく,受け入れていた父子の言葉少ない交流の場面が良かった。

「文字」を知らないことで不利益をこうむる姿,文盲であることを隠そうとするスタンレーの姿が,『愛を読むひと(『朗読者』というタイトルの方が合っていたと思う) にもつながりました。